Labo & Exhibition

レオナルド ダビンチ

パスツール

グーテンベルク

右側映像のフューチャ・クリップ

「忘れ去られるもの達」電通ADギャラリー展覧会、

NTTグループ『あなたに情報のちから』フォトグラファーは宇田幸彦

 

情報番組キャッチアップ 「新しいデザイン手法」

個展用:踊るシヴァ

インド旅行から帰国しクリエイティブの未来について語る


柴山の仕事

脳波の日経取材

アトリエではよく黒い烏帽子を額につけている。脳波の計測器だ。計測された脳波をアップル社のコンピュータが広告とモニター上に描き出し、同時に即興の環境音楽に変換する。 人間ドックに入ったとき、意志に関係なく思わぬところで変化する脳波のグラフを見て、自 分の中に自分も知らないものがあることに驚いた。それ以来、自分の脳波をモチーフに CG(コンピュータ・グラフィックス)の作品を作り出している。 

 

「脳を開放してあげているんです」

作品には脳はグラフをそのまま表したものもあるが、計測器を付けた時、脳裏に浮かぶ光景 を描いた瞑想的なものが多い。目をつぶると、日の差し込む林、小川、その中から現れる手 ——などのイメージが鮮明に見え、脳が潜在的に持っている記憶を、ふだんいかに閉じ込め てしまっているかがよくわかるという。 「僕たちはネクタイを選ぶ、速い列車を作るといったことに脳を使っているけれど、脳が本 当に欲していることは別だと思うんですね。そこでこうやって、脳がしたいことをさせ、脳 が心地よい状態にしてあげるんです。それで本来の人間のペースを取り戻せるのだと思う」 脳波計測は、人工的な概念の束縛を脱し、今現在を生きる生身の自分を見つめようとする試 みなのだ。古来、多くの画家たちが自分とは何かを問いながら自画像を描いてきた。能の見 せる夢や波形をそのままに受け止めたグラフィックもまた、新しい自画像の一つに違いない。 


マルチメディアCD-ROM作品: バイオモーフ エンサイクロペディア・マイブリッジ

エドワード・マイブリッジの連続写真の間をモーフィングという技術で計算させて一つの映像にした。また映像の一つ一つをインタラクティブにシナリオを操れるようにした。

エドワード・マイブリッジの夢をみた。

タクシーに乗り帰宅途中、交通事故にあい脊髄を骨折してしまった。幸い神経は、すべてつながっていたのでわりと早く退院できたのだが、ギブスをしながら、古い国立病院の外科病棟の個室に電話を引いてもらい、色校をしたりしていた。そんなある夜、カメラマンのエドワード・マイブリッジの撮った写真たちが生きているかのように動き出す夢を見た。早速事務所からマックを持ってきてもらい、看護婦と主治医の目を盗みながらベ ッドの上の細長い小さなテーブルの上にモニター、キーボードを置き、マイブリッジの写真 と写真の間をモーフィングというソフトでいくつものコマを計算させ始めた。夢で見たときと同じ様にその映像は、まわりの空間空間をひきずりながら、不思議な動き方をし始めた。退院した後、それをCD-ROMにまとめて、バイオモーフ・エンサイクロペディア・マイブリッジと名づけた。マルチメディアに興味がある美術館は、大体購入してもらっているようだ。


エジソン以前に映画技術の根幹を作り出した19世紀のカメラマン、エドワードマイブリッジ。彼をテーマにしたマルチメディアCD-ROM。これは映写機がまだない時代に撮影した人体、動物の動きの記録写真をテーマにしたものだが、その彼の写真には、写りきれなかった失われた時間をコンピューターにより現在の感覚で蘇らせた現代の新しい書物です。その映像と映像のつなぎ目も注目。

CD-ROM "Bio-Morph Encyclopedia Muybridge," inspired by work of the 19th century photographer Edweard Muybridge, was completed. The software, containing Muybridge's photographic work of men and animals, is a new style of literature that enables retrieving the lost time and the movement that Muybridge was not able to capture in his photographs. 


サウンド 別A

サンフランシスコに戻った私は、西海岸において最先端な自然風景写真家として、名前を知られつつありました。1867年には、ヨセミテ渓谷の写真を撮り、当時の写真技術の欠点を克服しました。空の明るさのために露出オーバーになっていたものを、"sky shade"という器具を開発し、露出を抑え、鮮明に物体をとらえることに成功したのです。翌68年に、写真集「ヨセミテ渓谷の風景」が、写真集として出版されました。これは各地で好評をえ、特にAlta California紙には、「今までの写真には見られなかった、本物か油絵のような雲の様子が写しだされている」と、書きほめられました。当時の写真は、油絵よりも緻密さに欠けていたのです。また、アラスカに軍の駐屯地を決定する調査隊に、専属カメラマンとして、(陸軍少佐 ヘンリー・ハレックより) 招待されました。

別B

スタンフォードと私は、フランス人のマレイという、自然歴史学者の記事を読みました。内容は動物の運動に関する物でしたが、その説明図の曖昧さに動物の運動に関する研究を進めようという、さらなる思いが募った。

別C

10月17日、あの悲劇が訪れました。

ラーキンズという男が、妻と不倫をしているばかりか、生まれたばかりの私の子供を、実は彼の子供だという、手紙を送りつけてきたのです。

私はその晩彼の家に行き、「あなたの手紙の返事はこれです」そう言って、彼を撃ち殺しました。

私はそのまま保安官にひきわたされ、第一級殺人罪で起訴されました。

1875年の法廷で、弁護人ウィリアム・ペンダギャスト氏の、2時間にも及ぶ熱弁のおかげで、私は無罪として釈放ました。 等


BIO-MORPH-MUYBRIDGE

イギリスの写真家であるマイブリッジを題材に、柴山氏はCD-ROMによるアンビエントムービーを制作した。この新しいジャンルともいえる氏の作品について、制作にいたる動機から作業上の苦労までを紹介していく。

 

MYBRIDGE制作の動機

マイブリッジはイギリス生まれのカメラマンであり、彼自身、殺人罪に問われながらも動物や人物の動きの形をスチールカメラで撮影し続けた人物である。

柴山氏はマイブリッジの記録写真そのものではなく、彼が撮ることのできなかった写真と写真の間の幻影に注目した。したがって、彼の撮った画像を素材としながらも、全く違った視点とバイオモルフと呼ぶ独特の手法を使い、マイブリッジの考え方を突き抜けることによって、氏の個性をその中に盛り込んでいった。

また、CD-ROMMUYBRIDGEを制作していくことによって、氏の中で、マルチメディアとは何か、何がどうマルチメディアなのか、そしてグラフィックデザイナーという立場からマルチメディアというものへのアクセスが可能なのかを、自分自身確認したかった、ということがある。

「しかし、つい最近までX軸とY軸という平面性しか頭になかった僕としては、ムービーの時間軸を取り入れた動く画像を、単に平面の中に移し変えることだけを仕事にしたくはなかったんです。つまり、写真をスキャニングしてMacintosh上のモニターで見るのが写真集で、QuickTimeのフォーマットに落としてMacintoshで見るのがマルチメディアなのだろうか?という疑問が湧いてきました」

このような疑問を内包したままMUYBRIDGEは制作されている。そのためか、MUYBRIDGEは失われてしまった幻の時間と空間の中を動物や人間が移動していく、といった不思議な感覚や、時間を捻じ曲げて一秒前の自分から今の自分へ、また今の自分から一秒後の自分へとさながらワープしているような錯覚を見るものに感じさせる作品になっている。

 

難航したCD-ROM制作

MUYBRIDGEの制作は、構想が9212月、実質的な作業は934月からスタートしている。したがって、完成までには1年弱かかっている計算になる。

使用したソフトは、PhotoshopIllustratorShadeなど、モーフィングはMorphを使用して制作した。音声に関してはSound Edit Proを使用し、ナレーションも氏自身が吹き込んでいる。そして完成したグラフィックや音声をDirectorで編集、という手順である。

「音声などは、初め外部に発注しようと考えていました。しかし、制作していくうちにはじめの見積もりの3倍くらい費用がかかることがわかりました。そのため外注費がなくなってしまったんです。ただ、音声に関してもデスクトップ上で作業することが出来るメディアなわけですから、それを生かして自分で作ることにしました」

CD-ROMの作成においては、グラフィック、音声、オーサリングなどの異なる分野の作業が必要になるため、各パートに分かれた分業制で作業が進んでいく、というのが普通であろう。しかし、氏の場合は、出来る限りの作業を自分自身で行っていった。

 

 

MUYBRIDGEのように個的な作品の場合、すべての作業を自分自身で行うことになってしまいます。本当のところ、パーツひとつでも他の人に作ってもらいたかったと思います。しかし、作業の中にコンピュータを取り入れれば取り入れるほど、その作業を自分自身で行っていかなければなくなります。つまり、どうしても最終決定をするものが制作に携わることになるわけです。最終的には、プログラムの部分だけを他の人にやってもらうような作業の進め方になってしまいました」

ゲームメーカーなどが制作を行う場合、まずアウトラインがあり、絵コンテを作り、制作上の問題点についてオペレーターやプログラマーたちと話し合いながら進行していくだろう。しかしMUYBRIDGEの制作においては、製作中に出てくる色々な局面に対して、それをリアルタイムに作品に反映させていく方法(例えば新しいソフトの使用など)をとったため、どうしても組織だった制作環境にはならなかったのかもしれない。

 

今後の展開について

MUYBRIDGEの制作を通じて氏が感じたことは、640×480というサイズが、非常に小さいものであるということ、CD-ROMの動作スピードが遅いという点であった。とくに、現在の主流である倍速CD-ROMドライブの場合、インタラクティヴ性を表現する上では、やはり不満がある。しかし、この問題はハード的な問題であり、CD-ROMを制作しているもの全てに共通しているため、その限られた環境の中でどれだけベストなものが制作できるかを考えていく必要があるわけである。

「このMUYBRIDGEに関しては、僕自身がクライアントであると同時に制作者であるわけです。ですからこれを見ていただいて、色々と反響があると思いますが、それによってまた新しいものを作るという気になっていくと思います。MUYBRIDGEに関していえば、CD-ROMの制作というのは全体の1/3であり、残りの2/3はこれから始まるのだと考えています」

MUYBRIDGE制作の過程を見ていくと、大切なのは作りたいという欲求であり、それさえあれば必ず道は開ける、とういうことをわれわれに教えてくれる。

氏の作品は、CD-ROMの制作にためらいを感じているクリエーターにとって、ある種のきっかけを与えてくれるのではないだろうか。

 

 

「僕らの次の時代、21世紀のアートディレクターやコピーライター達は何か確実に私たちと違うものが要求されるに違いない。それはどの部分をとっても不透明で、何を勉強してもそれが先細りになるのか、太い柱となるのかがわからないが、ぼくらは次の世代の人達が望む、何かを伝えなければならないのであろうか。それはどうすれば出来るのであろうか。マルチメディア、さしあたり、この霧のかかった大海か、小川かわからない中、水面で首を持ち上げ、耳を澄まし、目を見開き、彼方からの情報や技術をどれだけ受け取ることが出来るか、そしてそれを使いこなし、制作し続ける。とりあえずこれくらいの気分を心に刻み仕事を続けて生きたいと思う。そして一番大事なハートのあるメッセージを忘れないでいる21世紀のデザイナーと酒場で話の続きをしたい」


バイオモーフ エンサイクロペディア マイブリッジについて

 

"Bio-Morph Encyclopediaは新しいテクノロジーによって可能になった新しい可能性を探­る美しく魅力的な作品のCD-ROMである。"(レオナルド エレクトロニック アルマナック VOL.2 NO.12より)ステファンウィルソン

"Bio-Morph Encyclopedia is a beautiful and provocative work for CD-ROM that explores some new art possibilties made possible by new tecnologies."

Stephen Wilson, San Francisco, CA (Leonardo Electronic Almanac Vol.2 NO.12)

エドワード・マイブリッジ(1830-1904)による動く人間や動物の動きを捉えた­クロノフォトグラフィーのシリーズは、20世紀の数多くの実験的なアーティストに刺激­を与えてきた。ここには、マルセル・ヂュシャンやウンベルト・ボッチョーニのような人々に始まり、傑­出した映画作家(ジガ・ウェルドフ、ジャン=リュック・ゴダール)、ビデオ作家(ジョ­ージ・スノウ、ガーバー・ボディ)が含まれる。

この「マイブリッジアン」の系譜は、イメージの「神秘化」の傾向をくい止め、距離をと­って分析するための新しい「凍りついた」空間を打ち立てようとする衝動を持ったモダニ­ズムのアヴァンギャルドと、主として関連づけられてきた。だが、柴山信広によってすぐれたCD-ROM作品 (BIO-MORPH ENCYCHROPEDIA Muybridge)は、この系譜からは、はっきりと断絶している。柴山の目標は、運­動自体の脱構築よりも、新しい総合的な経験をもう一度創造する事にある。現代のモーフィング・ソフトウェアの創造的活用をはじめとして、彼はさまざまな文化的­ソースから得た要素を結合する。この結果は超現実的で奇怪なものだ。

まず、観客=ユーザーはマイブリッジの静止画像の目録から何点か選択するように求めら­れる。(季刊インターコミュニケーション NO.14より) フィンランド ラップランド大学メディア学部教授 エルキ・フータモ

Bio-Morf Encyclopedia:2映像

The chronophotograhic series of humans and animals in motion by Eadweard Muybridge (1830-1904) have inspired a significant number of 20th century experimental artists, beginning with figures like Marcel Duchamp and Umberto Boccioni, and including prominent filmmakers (Dziga Veyrov, Jean-Luc Godard) and videomakers (George Snow, Gabor Body). This "muybrigian" tradition has mostly been connected with modernist avantage, with its urge to stop the "mystifing" flow of images, and to establish a new "frozen" space for distanciation and analysis. The remarkable CD-ROM artwork Biomorph Encyclopedia by Nobuhiro Shibayama clearly stands out from this tradition. Shibayama's goal is less the deconstruction of movement in itself than the re-creation of a new synthetic experience. He combines elements from different cultural sources, including the creative use of contemporary morphing software.The result is surreal and bizarre. The user is invited to make choices from inventories of Muybridge's still images.

Reviewed by Erkki Huhtamo Professor of media studies,

University of Lapland (Rovaniemi, Finland)



アルケミア・タペストリーについて

ここで紹介する作品は、タイムマシンで大昔のアートを連れて戻ってきたような気分にさせてくれます。これは元々タピスリーとしてフランス北部にあるボーヴェの聖堂に15世紀から18世紀まで実際に飾られていました。そのタピスリーは1460年頃、司教ギョーム・ド・エランドによって聖堂に寄贈されたのですが、時を経て散逸或いは消失してしまい、今では現存しているのかどうかはっきりしておりません。しかし19世紀にはまだその一部が残っていたようで、模写による作品集がフランスでモマンガのようなエッチングの線画として出版されていました。その本に付された解説によると、ギョーム・ド・エランドは1443年にフランス・イギリス間で結ばれた休戦条約を自身の司教就任への祝福と考え、聖堂に寄贈する記念物の製作を思いついたとあります。

 

その記念物がこれらのタピスリーの大元であり、それらには彼が休戦に対して望んだ言葉「Paix(平和)」と彼の紋章が散りばめられています。キリストの12使徒の1人であった聖パウロの生涯を主題としており、先に述べた作品集には当時残っていた6点が模写されていました。それをCGで今のエッセンスや風景を取り入れながら現代に甦らせてみました。 よく見るとパソコンや車も描かれていたり、美味しそうなシェフの料理も差し出されています。また、人物の大方の顔は私自身の顔をモーフィングという技術でこしらえてみました。ですから王様や家来そして聖パウロは私にそっくりな分身です。そんな遊びも試みました。日高シェフやジローラモさんのお顔も友情出演してくれています。 



キリストの教えに「汝の隣人を愛せよ」ということばがあります。今、この隣人という概念はとても重要な問題をもっていると思います。自分以外の最も近距離にいる同じ身体的機能を持つ隣人に対して、自分がどの様な存在であり、隣人にとって、自分がはたして共存性があるかどうかということ、隣人にとっての隣人すべてはクリアーな連鎖

念と同じ意味をもつものだと思う。パウロが書き綴った物語(言葉のタペストリー)は、いまもその連鎖を継続させている。それは多分、人類が宇宙で暮らすようになっても生きつづけると思う。パウロはデジタルの概念を宗教者としてはじめて把握した人だと思います。柴山信広も同意のデジタルの意味を武器にした作家であると思います。柴山信広の作りだす世界(デジタルタペストリー)がクリアーで魅力にあふれているのは、そのためであります。

                                                                       奥村靫正


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