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shibayama
works

Produced in 1992   1993

~

BIO-MORPH ENCYCHROPEDIA Muybridge
CD-ROM: バイオモーフ エンサイクロペディア・マイブリッジ

 1991年にエドワード・マイブリッジの連続写真の間をモーフィングという技術で計算させて一つの映像にしたいと思った。細かな画像を作った。色々とあったが実際に始まったのは1992年。また映像の一つ一つでシナリオを操れるようにした。新しいカテゴリーのCD-ROMバイオモルフマイブリッジを1993年完成発表。これは映写機がまだない時代に撮影した人体、動物の動きの記録写真をテーマにしたものだが、その彼の写真には、写りきれなかった失われた時間をコンピューターにより蘇らせ、さらに実の映像の元と映像の元を繋げ夢に出て来るような現代の新しい書物です。
エドワード・マイブリッジの夢をみた。
 タクシーに乗り帰宅途中、私は大きな交通事故にあい脊髄を骨折してしまった。幸い神経は、すべてつながっていたのでわりと早く退院できたのだが、ギブスをしながら、古い国立病院の外科病棟の個室に電話を引いてもらい、その時のスポンサーの色校をしたりしていた。病院に入っても結構忙しかった。そんなある夜、凄く以前のカメラマンのエドワード・マイブリッジの撮った写真たちが生きているかのように動き出す夢を見た。驚いた。以前に考えていたものだったからだ。早速事務所からマックを持ってきてもらい、看護婦と主治医の目を盗みながらベ ッドの上の細長い小さなテーブルの上にモニター、キーボードを置き、マイブリッジの写真と写真の間をモーフィングというソフトでいくつものコマを計算させ始めた。夢で見たときと同じ様にその映像は、まわりの空間空間をひきずりながら、不思議な動き方をし始めた。しかもその当時のコンピュータのキーを押せば、答えが出て来るような仕方では無く、キーを押しても中々映像が見られないような仕掛けが必要だと考えた。 
 退院した後、バックミージックは夢に出て来る音を目指した。彼のデータはアメリカのスタンフォード大学まで連絡を取り著作権の問題なしとされた。それをCD-ROMにまとめて、バイオモーフ・エンサイクロペディア・マイブリッジと名づけた。マルチメディアについて世界の美術館の中で所有しているところもあると思います。

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Produced in 1991

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CD-ROMの中に入っているサウンドの例


A

サンフランシスコに戻った私は、西海岸において最先端な自然風景写真家として、名前を知られつつありました。1867年には、ヨセミテ渓谷の写真を撮り、当時の写真技術の欠点を克服しました。空の明るさのために露出オーバーになっていたものを、"sky shade"という器具を開発し、露出を抑え、鮮明に物体をとらえることに成功したのです。翌68年に、写真集「ヨセミテ渓谷の風景」が、写真集として出版されました。これは各地で好評をえ、特にAlta California紙には、「今までの写真には見られなかった、本物か油絵のような雲の様子が写しだされている」と、書きほめられました。当時の写真は、油絵よりも緻密さに欠けていたのです。また、アラスカに軍の駐屯地を決定する調査隊に、専属カメラマンとして、(陸軍少佐 ヘンリー・ハレックより) 招待されました。
 

B

スタンフォードと私は、フランス人のマレイという、自然歴史学者の記事を読みました。内容は動物の運動に関する物でしたが、その説明図の曖昧さに動物の運動に関する研究を進めようという、さらなる思いが募った。
 

C

10月17日、あの悲劇が訪れました。

ラーキンズという男が、妻と不倫をしているばかりか、生まれたばかりの私の子供を、実は彼の子供だという、手紙を送りつけてきたのです。

私はその晩彼の家に行き、「あなたの手紙の返事はこれです」そう言って、彼を撃ち殺しました。

私はそのまま保安官にひきわたされ、第一級殺人罪で起訴されました。

1875年の法廷で、弁護人ウィリアム・ペンダギャスト氏の、2時間にも及ぶ熱弁のおかげで、私は無罪として釈放ました。

Produced in 1992

バイオモーフ エンサイクロペディア マイブリッジについて
 "Bio-Morph Encyclopediaは新しいテクノロジーによって可能になった新しい可能性を探­る美しく魅力的な作品のCD-ROMである。"(レオナルド エレクトロニック アルマナック VOL.2 NO.12より)ステファンウィルソン"
 エドワード・マイブリッジ(1830-1904)による動く人間や動物の動きを捉えた­クロノフォトグラフィーのシリーズは、20世紀の数多くの実験的なアーティストに刺激­を与えてきた。ここには、マルセル・ヂュシャンやウンベルト・ボッチョーニのような人々に始まり、傑­出した映画作家(ジガ・ウェルドフ、ジャン=リュック・ゴダール)、ビデオ作家(ジョ­ージ・スノウ、ガーバー・ボディ)が含まれる。
 この「マイブリッジアン」の系譜は、イメージの「神秘化」の傾向をくい止め、距離をと­って分析するための新しい「凍りついた」空間を打ち立てようとする衝動を持ったモダニ­ズムのアヴァンギャルドと、主として関連づけられてきた。だが、柴山信広によってすぐれたCD-ROM作品 (BIO-MORPH ENCYCHROPEDIA Muybridge)は、この系譜からは、はっきりと断絶している。
柴山の目標は、運­動自体の脱構築よりも、新しい総合的な経験をもう一度創造する事にある。現代のモーフィング・ソフトウェアの創造的活用をはじめとして、彼はさまざまな文化的­ソースから得た要素を結合する。この結果は超現実的で奇怪なものだ。まず、観客=ユーザーはマイブリッジの静止画像の目録から何点か選択するように求めら­れる。(テキスト:エルキ・フータモ)-「InterCommunication」 1995Autumn No.14(NTT出版)より抜粋 
 フィンランド ラップランド大学メディア学部教授
 エルキ・フータモ

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エジソン以前に映画技術の今となっては根幹を作り出した事になるかもしれない19世紀のカメラマン、エドワードマイブリッジ。しかし僕はコマとコマの間を計算させてみた。これは映写機がまだない時代に撮影した人体、動物の動きの記録写真をテーマにしたものだが、その彼の写真には、写りきれなかった失われた時間類をコンピューターにより現在の感覚で蘇らせた現代の新しい書物です。
CD-ROM "Bio-Morph Encyclopedia Muybridge," inspired by work of the 19th century photographer Edweard Muybridge, was completed. The software, containing Muybridge's photographic work of men and animals, is a new style of literature that enables retrieving the lost time and the movement that Muybridge was not able to capture in his photographs. 

​このDVD-ROMマルチメディア本編は

アニマル1、アニマル2、ダンス、男、女、とオープニング、マイブリッジ紹介、マイフェバリットに別れる。

Produced in 1993

男の一部と女の一部。

ここで動画がカーソルによって結びつけられる。CD-ROMの中では自由に動けるし、全部を動かせる。現代でも画期的な一歩だと思う。

Produced in 1993

動物1の一部と動物2の一部。

オープニングの一部とマイブリッジの紹介の一部。

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Produced in 1993

Produced in 1993

マイブリッジ撮影の資料類。

フィンランド ラップランド大学メディア学部教授 エルキ・フータモより
"Bio-Morph Encyclopediaは新しいテクノロジーによって可能になった新しい可能性を探­る美しく魅力的な作品のCD-ROMである。"(レオナルド エレクトロニック アルマナック VOL.2 NO.12より)ステファンウィルソン
 "Bio-Morph Encyclopedia is a beautiful and provocative work for CD-ROM that explores some new art possibilties made possible by new tecnologies."
Stephen Wilson, San Francisco, CA (Leonardo Electronic Almanac Vol.2 NO.12)
 エドワード・マイブリッジ(1830-1904)による動く人間や動物の動きを捉えた­クロノフォトグラフィーのシリーズは、20世紀の数多くの実験的なアーティストに刺激­を与えてきた。ここには、マルセル・ヂュシャンやウンベルト・ボッチョーニのような人々に始まり、傑­出した映画作家(ジガ・ウェルドフ、ジャン=リュック・ゴダール)、ビデオ作家(ジョ­ージ・スノウ、ガーバー・ボディ)が含まれる。
 この「マイブリッジアン」の系譜は、イメージの「神秘化」の傾向をくい止め、距離をと­って分析するための新しい「凍りついた」空間を打ち立てようとする衝動を持ったモダニ­ズムのアヴァンギャルドと、主として関連づけられてきた。だが、柴山信広によってすぐれたCD-ROM作品 (BIO-MORPH ENCYCHROPEDIA Muybridge)は、この系譜からは、はっきりと断絶している。柴山の目標は、運­動自体の脱構築よりも、新しい総合的な経験をもう一度創造する事にある。現代のモーフィング・ソフトウェアの創造的活用をはじめとして、彼はさまざまな文化的­ソースから得た要素を結合する。この結果は超現実的で奇怪なものだ。
 まず、観客=ユーザーはマイブリッジの静止画像の目録から何点か選択するように求めら­れる。(季刊インターコミュニケーション NO.14より)

 フィンランド ラップランド大学メディア学部教授 エルキ・フータモ

Bio-Morf Encyclopedia
The chronophotograhic series of humans and animals in motion by Eadweard Muybridge (1830-1904) have inspired a significant number of 20th century experimental artists, beginning with figures like Marcel Duchamp and Umberto Boccioni, and including prominent filmmakers (Dziga Veyrov, Jean-Luc Godard) and videomakers (George Snow, Gabor Body). This "muybrigian" tradition has mostly been connected with modernist avantage, with its urge to stop the "mystifing" flow of images, and to establish a new "frozen" space for distanciation and analysis. The remarkable CD-ROM artwork Biomorph Encyclopedia by Nobuhiro Shibayama clearly stands out from this tradition. Shibayama's goal is less the deconstruction of movement in itself than the re-creation of a new synthetic experience. He combines elements from different cultural sources, including the creative use of contemporary morphing software.The result is surreal and bizarre. The user is invited to make choices from inventories of Muybridge's still images.
Reviewed by Erkki Huhtamo Professor of media studies,
University of Lapland (Rovaniemi, Finland)

Produced in 1993

マイブリッジのダンス編の一部。

マルチな思考は止まらない 新しくCD-ROMを出されるという話も聞きまして、マルチメディアを意識して作られているということですが、どういうものですか。(1993年インタビュー)

柴山−これはマイブリッジという人が100年前に撮影した人体と動物などの動きをひとつひとつ追って写した写真があるのですが、僕はこれがマルチメディアの元祖だったんじゃない かと思うんです。 彼は地面にワイヤーを張り巡らせて、それに触れるとシャッターが下りるように並列にカメ ラを設置して動物の歩く姿を8枚から20枚程度の写真に収めたんです、馬が走るときは4本 の足全てが地面から離れるときがあるかないかということで、彼は市長と賭けをしたらしい んですよ。結局はマイブリッジの言うとおり、全て離れるときはあったんですけど。こまの 集合体として考えたのは彼が最初だったんです。だから、これはマルチメディア、PICSの王様ですよ。

 

ーで、それをCD-ROMに?

 

柴山−そう、それをただ並べただけだとパタパタアニメにしかならない。それはやりたくな いと思ってね。モーフィングという技術がMac上で出来るということを聞いて、パッと閃い たんですよ。これを使えば1枚1枚の間をスムーズに動かすことが出来るんじゃないかと。こ れが結構うまくいきまして、その時見ていた映像が見事に動画の状態になっているんです よ。 そしてユーザーが選んだ通りにAからBの動物に変形できるようになっているんです。ゲーム ではないんですが...、どういうカテゴリーのものか自分でも分からないんです(笑)『バイ オモルフ・エンサイクロペディア(マイブリッジ)』ですかね(笑)

 

−マルチメディアの世界で何かやってみたいと思ったきっかけは何ですか。

 

柴山−今やっているのはCD-ROMという媒体の中でやっているだけであってマルチメディアラ イクなソフトですよね。その中で表現しているものっていうのは今まで紙というもので自分 はやってきたわけだけど、それをCDというものに置き換えただけ。ある枠の中に文字を綺 麗に並べたりするレイアウトという行為は宝石箱を見つけてきて自分の好きな宝石類を入れ る行為に近いんですよ。だから、CD-ROMっていうのも僕の頭の中では宝石箱のようなもの なんだね。『マイブリッジ』などは本当の本があるわけだから、それで完結してるものです よね。手に取って見られるという良さがあるわけだけど、こっちのデジタルの方にも良さが ある。それは同時には存在しえないんですよ。何かを捨てて何かを得るわけですよ。素晴ら しい本のテクスチャーやインクの匂い、色んな細かな情報というのは失われるけれど、マイ ブリッジのオリジナル以上のものがコンピュータの力で付加されている。

 

−CDを作ることもできますね。環境音楽の。


柴山−そうですね。 このシステムに人工知能をつければ、もう少し喜怒哀楽を表現することも出来ますよ。 −アイデアも含めて、Macを使うことによって変わった部分はどんなところでしょうか。 柴山−かなり変わったかな。自分の足りない部分をコンピュータが補ってくれるってところ がありますよね。ただ、自分の思想以上のものをコンピュータが勝手にやるかといったらそ んなことは絶対にない。このIBVAにしても自動作曲器ではないわけだから...。『マイブリッ ジ』のときにも言ったけど、やはり、便利になった部分もあれば失ったものもあるんですよ ね。 

BIO-MORPH-MUYBRIDGE

イギリスの写真家であるマイブリッジを題材に、柴山氏はCD-ROMによるアンビエントムービーを制作した。この新しいジャンルともいえる氏の作品について、制作にいたる動機から作業上の苦労までを紹介していく。

 

MYBRIDGE制作の動機

マイブリッジはイギリス生まれのカメラマンであり、彼自身、殺人罪に問われながらも動物や人物の動きの形をスチールカメラで撮影し続けた人物である。

柴山氏はマイブリッジの記録写真そのものではなく、彼が撮ることのできなかった写真と写真の間の幻影に注目した。したがって、彼の撮った画像を素材としながらも、全く違った視点とバイオモルフと呼ぶ独特の手法を使い、マイブリッジの考え方を突き抜けることによって、氏の個性をその中に盛り込んでいった。

また、CD-ROM版MUYBRIDGEを制作していくことによって、氏の中で、マルチメディアとは何か、何がどうマルチメディアなのか、そしてグラフィックデザイナーという立場からマルチメディアというものへのアクセスが可能なのかを、自分自身確認したかった、ということがある。

「しかし、つい最近までX軸とY軸という平面性しか頭になかった僕としては、ムービーの時間軸を取り入れた動く画像を、単に平面の中に移し変えることだけを仕事にしたくはなかったんです。つまり、写真をスキャニングしてMacintosh上のモニターで見るのが写真集で、QuickTimeのフォーマットに落としてMacintoshで見るのがマルチメディアなのだろうか?という疑問が湧いてきました」

このような疑問を内包したままMUYBRIDGEは制作されている。そのためか、MUYBRIDGEは失われてしまった幻の時間と空間の中を動物や人間が移動していく、といった不思議な感覚や、時間を捻じ曲げて一秒前の自分から今の自分へ、また今の自分から一秒後の自分へとさながらワープしているような錯覚を見るものに感じさせる作品になっている。

 

難航したCD-ROM制作

MUYBRIDGEの制作は、なんと無くの着想が91年6月、構想が92年10月、おおよその実質的な作業は93年4月からスタートしている。完成は1993年夏。マイレーベルをつけてCD=ROMのプラケースを付けてだ。したがって、完成までにはまる2年ちょっとプラスに、かかっている計算になる。もちろん他の仕事をしながらだ。そしてさらに色々な店に並べた時に目立つ様にしたいとの事なので、外の紙パッケージを製作したのが、その後。

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Photography in 1995

ハイパークラフトの今は亡き安斎さんと1995年に写真を撮る。先駆けの​マルチメディアショップが店を開いていた。Netが無かった時代。宣伝会議1995年3月号より

使用したソフトは、Photoshop、Illustrator、Shadeなど、モーフィングはMorphを使用して制作した。音声に関してはSound Edit Proを使用し、ナレーションも氏自身が吹き込んでいる。そして完成したグラフィックや音声をDirectorで編集、という手順である。

「音声などは、初め外部に発注しようと考えていました。しかし、制作していくうちにはじめの見積もりの3倍くらい費用がかかることがわかりました。そのため外注費がなくなってしまったんです。ただ、音声に関してもデスクトップ上で作業することが出来るメディアなわけですから、それを生かして自分で作ることにしました」

CD-ROMの作成においては、グラフィック、音声、オーサリングなどの異なる分野の作業が必要になるため、各パートに分かれた分業制で作業が進んでいく、というのが普通であろう。しかし、氏の場合は、出来る限りの作業を自分自身で行っていった。

「MUYBRIDGEのように個的な作品の場合、すべての作業を自分自身で行うことになってしまいます。本当のところ、パーツひとつでも他の人に作ってもらいたかったと思います。しかし、作業の中にコンピュータを取り入れれば取り入れるほど、その作業を自分自身で行っていかなければなくなります。つまり、どうしても最終決定をするものが制作に携わることになるわけです。最終的には、プログラムの部分だけを他の人にやってもらうような作業の進め方になってしまいました」

ゲームメーカーなどが制作を行う場合、まずアウトラインがあり、絵コンテを作り、制作上の問題点についてオペレーターやプログラマーたちと話し合いながら進行していくだろう。しかしMUYBRIDGEの制作においては、製作中に出てくる色々な局面に対して、それをリアルタイムに作品に反映させていく方法(例えば新しいソフトの使用など)をとった。

 

今後の展開について

MUYBRIDGEの制作を通じて氏が感じたことは、640×480というサイズが、非常に小さいものであるということ、CD-ROMの動作スピードが遅いという点であった。とくに、現在の主流である倍速CD-ROMドライブの場合、インタラクティヴ性を表現する上では、やはり不満がある。しかし、この問題はハード的な問題であり、CD-ROMを制作しているもの全てに共通しているため、その限られた環境の中でどれだけベストなものが制作できるかを考えていく必要があるわけである。

「このMUYBRIDGEに関しては、僕自身がクライアントであると同時に制作者であるわけです。ですからこれを見ていただいて、色々と反響があると思いますが、それによってまた新しいものを作るという気になっていくと思います。

MUYBRIDGE制作の過程を見ていくと、大切なのは作りたいという欲求であり、それさえあれば必ず道は開ける、とういうことをわれわれに教えてくれる。

氏の作品は、CD-ROMの制作にためらいを感じているクリエーターにとって、ある種のきっかけを与えてくれるのではないだろうか。

 

僕らの次の時代、21世紀のアートディレクターやコピーライター達は何か確実に私たちと違うものが要求されるに違いない。それはどの部分をとっても不透明で、何を勉強してもそれが先細りになるのか、太い柱となるのかがわからないが、ぼくらは次の世代の人達が望む、何かを伝えなければならないのであろうか。それはどうすれば出来るのであろうか。マルチメディア、さしあたり、この霧のかかった大海か、小川かわからない中、水面で首を持ち上げ、耳を澄まし、目を見開き、彼方からの情報や技術をどれだけ受け取ることが出来るか、そしてそれを使いこなし、制作し続ける。とりあえずこれくらいの気分を心に刻み仕事を続けて生きたいと思う。 1993年秋

Produced in 1993

記憶ボタンを押して好きな部分を纏めてみれるようにした部分。

Produced in 1993

男の部分。右ページの9つの8角形をどの様に選択しても選べる事ができ、映像と映像の間はこれに限らずモーフィングで繋がりどの様に繋げても見せてくれる。

PRIMARY CATEGORY: 000Works & Press CATEGORY: 000Works & Press

DATE: 06/01/1993 03:12:09 PM -----
BODY:
マルチな思考は止まらない

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EXTENDED BODY:

−新しくCD-ROMを出されるという話も聞きまして、マルチメディアを意識して作られている ということですが、どういうものですか。

柴山−これはマイブリッジという人が100年前に撮影した人体と動物などの動きをひとつひとつ追って写した写真があるのですが、僕はこれがマルチメディアの元祖だったんじゃない かと思うんです。 彼は地面にワイヤーを張り巡らせて、それに触れるとシャッターが下りるように並列にカメ ラを設置して動物の歩く姿を8枚から20枚程度の写真に収めたんです、馬が走るときは4本 の足全てが地面から離れるときがあるかないかということで、彼は市長と賭けをしたらしい んですよ。結局はマイブリッジの言うとおり、全て離れるときはあったんですけど。こまの 集合体として考えたのは彼が最初だったんです。だから、これはマルチメディアですよ。

 

−で、それをCD-ROMに?

柴山−そう、それをただ並べただけだとパタパタアニメにしかならない。それはやりたくな いと思ってね。モーフィングという技術がMac上で出来るということを聞いて、パッと閃い たんですよ。これを使えば1枚1枚の間をスムーズに動かすことが出来るんじゃないかと。その時見ていた映像が見事に動画の状態になっているんですよ。

 そしてユーザーが選んだ通りにAからBの動物に変形できるようになっているんです。ゲーム ではないんですが...、どういうカテゴリーのものか自分でも分からないんです(笑)『バイ オモルフ・エンサイクロペディア(マイブリッジ)』ですかね(笑)

 

−マルチメディアの世界で何かやってみたいと思ったきっかけは何ですか。

柴山−今やっているのはCD-ROMという媒体の中でやっているだけであってマルチメディアラ イクなソフトですよね。その中で表現しているものっていうのは今まで紙というもので自分 はやってきたわけだけど、それをCDというものに置き換えただけ。ある枠の中に文字を綺麗に並べたりするレイアウトという行為は宝石箱を見つけてきて自分の好きな宝石類を入れる行為に近いんですよ。だから、CD-ROMっていうのも僕の頭の中では宝石箱のようなもの なんだね。『マイブリッジ』などは本当の本があるわけだから、それで完結してるものです よね。手に取って見られるという良さがあるわけだけど、こっちのデジタルの方にも良さが ある。それは同時には存在しえないんですよ。何かを捨てて何かを得るわけですよ。素晴ら しい本のテクスチャーやインクの匂い、色んな細かな情報というのは失われるけれど、マイ ブリッジのオリジナル以上のものがコンピュータの力で付加されている。