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SHIBAYAMA
WORKS

Produced in 2002

心理学でシネマ的デザインを考える。

営業の現場を説明時間三分間のシナリオはアシストするのか。

 コミニケーションツールのデザインは、一つの画面から瞬時にメッセージが伝わることを主眼とした設計がほとんどです。もちろん画面の中での時間軸として横書きを中心としたデザインは左上方向から右下に目線は流れ、日本的な縦書き構造をもつものは右上方向から左下方向となります。

 しかし現場では、お客様との質疑応答の時に資料としてカタログを広げ指で示しながら細かなスペックを答えたりすることが大半のようです。これではお客様も営業マンも新商品のメリットへの訴求のタイミングを逃しがちです。

 

 クライアント企業の社運をかけたニュープロダクト。それに答えるために辿りついたものがこの物語の時間軸を与えた画期的な試みであるコンセプトブックです。

 

 結果このグラフィックは2分ちょっとの紙芝居仕立てになっています。訪問先のお客様が受け入れられる時間を最高三分と想定したからです。持ち時間以内でプロダクトの世界観を完璧に伝えるこの販促ツールはインナーである社内はもちろんアウターの潜在顧客の購入の決定意識に関わる重要なグラフィックです。

 

 ここで大事にした試みはシナリオ! シナリオ イズ キングという映画界の名言があるくらい重要な要素です。それを捉えたページ構成を試みました。このコミュニケーション・ツールのシナリオは「設定」「対立」「解決」という3つに集約出来ます。それに対しての考えとラフを含めた流れをご説明します。

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 まずプロダクトに内包されているそれぞれの機能を調べ頭の中で、ビジネスシーンでどう機能しそれをキーワードとして対応するのか最初は世界観を当てはめて見ます。例えばFAXやPDFをいっぺんに送受信しているシーンとか。早くなったプリント速度。データを保管できることやキーをつける理由やそのビジネスシーン。またモノクロからカラーに移行している時期などなど。それを二分程度でどう見せることができるのかシーンを変換していきます。そこでたどり着いたシナリオの世界観が『冒険的な要素を持つ探偵』です。
 
 そしてオープニングは「セントラルクエスチョンという重要な疑問」になりますから、いきなり経営者が救助を求めるぐらい困っているビジネスの現場から始ました。

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およそ上の上の図の三分割に分ける。
●余儀なく危険なカオスに巻き込まれる。としてもう駄目だと言わんばかりのオープニングの混乱したオフィースにて緊迫感高まる主人公。
●謎の集団から追いかけられる。未知への冒険。プロットの転換シーン。(20〜秒時点)
●最高速度で逃げ切る追いかける。
●中間部でのカタストロフィー。高所での危険な受け渡し。プロットの転換シーン。(55〜60〜秒)
●ハイテク装備のアジトへの侵入。
●和解への交渉。成功を感じさせる敵アジトでの大論争的プレゼンテーション。プロット転換シーン。(115〜秒時点)
●解決そして新世界の出現。クライマックスでの王者の帰還。(145〜秒時点)

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OPTIMIZE CONCEPT BOOK

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カオスのままでは生き残れない。

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即戦力になるカラーという選択。

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そのビジネスが求める最高速へ。

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オフィースをつなぐシームレスな関係。

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散在する情報を、資産へ。

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コスト削減から、最適なコストの追求へ。

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「最適」という名の「革新」

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課題解決としてのデザインについて:オープニングとしてA4横位置の表紙はシンプルにコンセプトワードのみ。きっちりとした提案を伝える為に濃紺のバック。
 

そしてすぐに次の1.2ページへ。
ここからA4横位置の見開きスペースにする事で臨場感を考慮した。 何気ない表紙をめくると、冒頭のワイド画面のこのコミュニケーション・ツールを見る人がまず、いきなり突然の混乱に巻き込まれる。仕事の環境からのあらゆるカオス。ビジネスという見えない相手からの重圧だ。
 
夕暮れが迫る薄暗く気怠いオフィースに山積みの請求書やドキュメント。
あちらこちらに散在したFAXやスキャナーそしてPCとプリンターが埋もれて整理の必要性と混乱のエントロピーによるカオス世界からの与儀ない WHY? の設定。
 
このイントロ導入部はセットアップ(世界観の設定)+ インサイティング・インシデント(つかみとなる出来事)+ セントラル・クエスチョン(解決しなければならない大きな疑問)の多層的な状態を一つの見開きページの非言語のスピリットをビジュアルで表現

第二幕、カラーへの冒険の始まり。
モノトーンスーツの四人組が追いかける。猛烈にダッシュで先行しカラープリントアウトを想像させる赤い服の女性。彼女は必死に誰かに重要書類を届けたいのだとも想像させるシーン。

ある種の異常事態を作り出すことで、ここからカラー複合機の機能を重ね始める冒険の始まりになります。

潜在顧客を引き込むビジネスの時間枠を意識してもらう。
これはセントラルクエスチョンを解決するために必要な時間の期限が存在することを暗示することが大事です。この場合腕時計が暗示しています。ビジネスに時間がつきものだということです。
 
そこを解決する機能として複合機のプリントアウトの枚数と速さが重要だということを示しています。それは舞い上がるプリントと加速して高回転の状態のタコメータと、腕の時計で隠れて見えてはいないがスピードメータがそれを担っています。

さらにユーザージャーニは続く
誰でも高所では恐怖を感じる。体の支えがなければなおさらです。隣接した高層ビルの中にいる先ほどの赤い服の女性が主人公にドキュメントを手渡しするために大きく窓から上半身を乗り出しミッションインポッシブルのように危険極まりない必死な状態を当てはめた。
 
なんとか受け取ろうとしている冒頭のカオスの主人公。シナリオが必要としたアクションポイントをピンチ(Pinch挟むこと)した。つまり次からの設定とのバトンタッチのように繋げる出来事ととしてデザインしています。
 
ここではアナログドキュメント、デジタルドキュメントのどのような状態でもこの複合機がやり取りが可能なことを説明しています。そして重要な設定として、ここまではアウト・ドアーの世界。

次はイン・ドアーという多様なオフィース空間に世界は変わる。
つまり徐々に英雄の帰還が始まる予感をデザインしています。ストーリーを正反対に転換させることが重要です。よってターニングポイントとしてこの見開きページのデザインは暖色系の色彩計画が効果的だと考えました。
 
場所はセキュリティーが厳重な国際金融銀行を想定させるエリア。
 
打って変わって冷静な表情で主人公が現れ、何かボタンを落ち着いて押して情報にアクセスし成果を手に入れようとしている。
 
余裕さえ感じさせるポージングは現場の顧客に憧れと同意を産みやすい。ここではBOX機能と呼ばれるオフィースのあちこちのPCに散在するドキュメントデータを1箇所に格納できる機能があります。さらに重要な機密書類を保護する機能をカットをクローズアップしたKeyと保証書で表現しました。

 物語は解決という第三幕に向かう。
ここではアタッシュケースの紙を見せ相手にプレゼンテーションをすることで取引というクライマックスを作ります。今までの緊張がクライマックスに到達します。第一幕でのセントラル・クエスチョンの答えが YES / NO で明かされる。気持ち懐疑的な感情を表す男が門番役ゲートキパーです。しかし赤い女性(複合機の化身)が主人公(ボス)の必勝を認め始めた表情がこのコンセプトブックを見るユーザ候補者の目に映るようにしました。そして椅子に座るクライアントが納得して主人公に好感を持ち耳を傾けている。
 
この時、主人公と他のキャラクターたちは自分たちの本当の姿を見い出し見ているものに憧れと共感を与えるように設定しました。
 
またセントラルクエスチョンを解決するために主人公を試練させた一連のドラマはトータルなビジネスへの適応力の確認だったことに気がつかせています。

エンディングでは、爽快なヒーロの帰還を表現。
この複合機OPTIMIZEで主人公の清々しい勝利で締めくくる。あれほど息苦しかった当初のオフィースは見事に片付きこの一台にFAXやスキャナーそしてプリンターがまとまりビジネス空間と機能も最適化されたことをデザインした。相棒の女性社員も喜んでくれてハッピーエンドを迎えます。

営業現場に対し、シナリオの視覚デザイン化はアシストできる。
 企業のコンセプトブックにカスタマージャーニーとしての「シナリオ」をグラフィックのコミニケーションツールとして明確な手法として持ち込んだ事は特に初の画期的な試みだったと思います。そして当時、クライアントからは評価は高かったと思います。営業の方も使いやすかったようです。

 結果この流れはCMの核になり(博報堂制作)次世代の複合機プロダクトまで影響を及ぼしました。このプロダクトはクライアントの急先鋒でしたが、とても良く初代複合機として利益に貢献したと言われたことを明記しておきます。          

 もちろんこのコンセプトとデザインだけではなくクライアントを取り組む一緒の企業の力も重要です。心が通う明朗なクライアントの皆様がお互いの信頼関係で時間がない中、完成までたどり着いた事は特に心に留めて置きたい気持ちです。私はこの複合機の未来に共感しました。

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