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shibayama
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New Earth

CREATORでLOVE MOTHER EARTHのポスターを制作する

ベルギーのバルコ社(優秀なモニタで知られる)のデザイン・ワークステーションが

BARCO CREATORである。3次元ソフトCT-WARPを使った画像生成、複雑な画像合成、マッピング、色修正などに威力を発揮するという。コダックヴィンズ社の協力で、AD 柴山信広氏がデザイン・ワークにトライした。

BARCO GRAPHICS社(ベルギー)製BG-CREATORは、シリコングラフィックス社製CRIMSON あるいはINDIGOをPLATFORMとした、フォトレタッチング・ワークステーションです。CG用UNIXとしては、世界で最も信頼・実績のあるシリコングラフィックスのハードウェア上に、ワコム社製のタブレター(感度ペン・筆圧ペン)と、BARCO社のキャリブレーションモニタ(SCITEX,CROSFIELD社も使用)を付け、それにBG開発のソフトウェアを載せたワークステーションを、BG-CREATORと呼びます。BARCO GRAHPICS社は、ハードウェア開発のすべてをシリコングラフィックス社に依存しており、多くの技術者がソフトウェアの開発に努力しています。また、最低でも年に2回はソフトウェアのアップグレードを行っており、新しいバージョンのソフトウェアはメンテナンス契約を結んでいるユーザーにはすべて無償でインストールします。したがって、CREATORのユーザーは全く新規にハードウェアを購入することなく、常に最新のソフトウェアを使用することが出来ます。

 

ソフトウェアの中で、BG-CREATORの特徴をほんの一部ですが、特に際立つものを何点か紹介しましょう。

  • ブラッシング機能 BG-CREATORは6種類のブラッシング機能を持っています(エアブラシ・円ブラシ・角形ブラシ・ペンブラシ・ハードブラシ・パステルブラシ)。当然これらすべてのブラシのプレッシャー・大きさは自由に調整でき、筆圧によって自由に変わります。また、BG-CREATORではこの6種類のブラシがそのままマスキングに使用できます。したがって、様々な種類のブラシを使い筆圧のフィーリングにより、階調のあるマスクをかけることが出来ます。

  • CT-WARP(コントンワープ機能=マッピング)CT-WARP機能とは、通常我々がマッピングと呼んでいる作業のための機能です。マッピングのためのグリッドを無数に持つことができ、横線をピックアップすると水平移動、縦線をピックアップすると垂直移動、各点をピックアップすると自由方向に、絵柄データを動かせます。このグリッドの、線数は、X軸に対し何本、Y軸に対し何本と数値入力すれば、無限に作ることが出来ます。したがって、細かいマッピングを行いたい場合は、線数を多くとれば良いわけです。

  • 2-POINT POSITIONING機能(2ポイントポジショニング)2点の合成を簡単に、しかも正確な位置に合成するための機能です。大きさ・角度の全く違った2点を合成する際に、2点をピックアップするだけで大きさ・角度を自由に変え、合成したい部分に合わせる機能です。

  • 3D(MODELINGとRENDERING)3次元ソフト BG-CREATORは、独自の3次元ソフトウェアを持っています。この3次元ソフトには8種類の光源がありその8種類の光源を同時にあらゆる方向からかける事ができます。この3次元ウィンドウを使い、例えばポスターがめくれているイメージなどを作り、そのイメージをBG-CREATORの通常のウィンドウに呼び込み、再び合成・色修正・マッピングを行うことができます。

  • TRANSCRIPT(トランスクリプトPostScript変換ソフト) MacintoshからPostScriptデータを呼び込むことができます。しかも、TranScriptというソフトでPostScriptをBARCO言語に翻訳できます。したがって、MacintoshのデータでもBG-CREATOR上で、マッピング、合成、色修正など変換できます。

  • 特色分解 BG-CREATOR上では、ソフトウェアにより特色分解ができます。無限数に色分解されたそれぞれの版データに特色を載せることにより、オリジナルの色がどのような色になるかをシミュレーションしながら特色を入れていくことができます。

  • CMYK BG-CREATORには、現在2種類のCREATORがあります。BG-PHOTOCREATORとBG-PPRO CREATORの2種類で、前者はRGB後者はCMYKでそれぞれ演算されます。BG-PHOTOCREATORでも、CMYKで入力、RGBに変換し再びCMYK変換しなおして出力するためのカラーマッチソフトウェアが搭載されていますが、K色の変換が100%完全ではありえないため、どうしても印刷を意識されるユーザーには、CMYK演算のBG-PEPROCREATORをお薦めします。

  • BG-CREATORはシステムの名前どおり、クリエーティブな仕事に非常に適していると思います。特に3次元ソフトCT-WARP機能を用いることにより、非常に複雑なイメージを作ったり、複雑なマッピングや合成、あるいは色修正などを行うには非常に便利なシステムです。

  • 今回の仕事で、ベルギーのBarco社の画像合成システムCreatorを使用する機会に恵まれた。このシステムを使用するのは今回で2回目になる。5~6年前、画像合成といえば大手の印刷会社のレスポンスの独壇場であった。最近になり、様々な画像合成システムと触れ合うようになった。島精機のHyperPaint、Quantel社のGraphicPaintbox、そしてMAMBAやPremier、MacintoshのPhotoshopなどがそうである。

  • MacintoshのPhotoshopは、事務所でもいじれるが、処理速度はまだまだといったところだが、Creatorのような大型ワークステーションは処理速度が感性についてくるので、仕事もはるかにしやすい。そのなかでも他社のモニタは日本製のハイビジョンを使っているが、Barco社のものは独自に開発したモニタを使っており、実際に見比べてみないことにはわかりにくいのだが、紙の白の部分がハイビジョンのものほど明るくなく、質感がしっかり再現されているように見える。

  • 今回はさらにそのクリエイターの中の、コントンワープという手法を用いた特殊な合成方法を使ってみた。通常のコンピュータによる画像合成とは、AのポジとBのポジを合成しなじませるといった方法に尽きるが、このコントンワープは、ある形に合わせて違う素材のテクスチャーを貼り付けるといったもので、他の画像合成システムにも似たようなものはあるが、自由度からいえば、このCreatorのほうが他のものより、一歩上であるといえる。

  • 今回は最初からこの機能を中心に使おうと決めていた。地球、火星、太陽、一つの家族とし、お腹の中のその星たちを宿した母親が手を取り合っているといったイメージである。母親たちの形を3次元ソフトで形をおこし、さらにモデルに同じようなポーズをとってもらい写真を撮った。星たちは別々にpictとしてMacintosh上で制作した。シンプルなあたり用として、およびシャドー用としてのCGのイメージ上に網目をきって、その網目に沿って人体を張り込んでゆくという最初から計算ずくの仕事である。

  • 最初のラフのイメージどおりに仕上がったと思う。しかしどんなマシーンでも、それを扱うオペレータの習熟度でそのクオリティーが決まるのだ。Barco社のインターフェイスを見た限り、Macintoshと同じように使いやすいように思える。多分、Photoshopを使っている人間が一週間も練習すれば使えるようになるだろう。そしてもともと自社のオリジナル3次元モデラーと組み合わせて使うように作られているソフトなので、今回のような作風には適しているといえる。

  • これからこのような画像合成システムは、色々と現れてくるだろうが、単に合成できるといっただけのものは、スピードの問題などはMacintoshに追いつかれてしまうかもしれない。むしろ、デザイナーや周辺の人々の意見を取り込める環境を各メーカーとも広げていってほしい。たぶんBarco社は、このような外部の声を聞く気持ちがある会社なのだろう。他にもいろいろと取り入れてほしいエフェクトなどがあるが、このメッシュマッピング的なコントンワープは凄かった。

  • 今回オペレーションを担当してくれた石渡千絵さんや、長時間マシーンの使用をやり繰りしていただいた岡松英二さん、コダックヴィンズの皆様、ありがとうございました。

  • (1993-5-21 柴山信広)