カラーレーザープリンタのみで出力した本「identity in NY」「identity」を制作した。これは企画からアート、製本まで手がけた。これは実は個人で出版できた本だけの話ではない。
まず第一に、出力のクオリティが高いレベルまで到達しているのにも関わらず、DTPといっても、単に通常の印刷のワークフローの一部を担っているだけといったケースが多かったのです。この本は本当の意味のデスクトップパブリッシングで、もっと個の単位で情報を発信しても良いのではないかというプレゼンテーションでもありました。
*N.Y. identity の実際の制作事例
今は大判インクジェットやカラーレーザーといった分野は使い方によって印刷を超えるものすらあります。また出力機器の進歩は、印刷をより個人レベルに近づけています。行程を短縮し、それだけ考えるための時間を生み出すことができたり、地域や街と様々な調和をさせた展開などできています。
このように必要なものを必要なだけ出力できるようになったことの意味は大きいと考えています。メディアがこれだけある中で、環境のこともあります。大きな話しになりますけれども地球の資源も限られていますから、もっと目的に応じて使い分けていかなければならないと考えています。クリエイターは地球環境に関する視点を持っていくと考えています。これからは潮目が変わって新しい世界に向かって走り出していけるクリエイターが必要です。
世界はとにかく空間が広く、それだけに出力のサイズも大きい。日本の大判出力は駅貼りサイズを基準にしていましたが、外国では壁1枚、壁画サイズが標準となっていまる。トランプタワーのあるN.Yなどではビジネスを中心に盛んに制作されていますし、専門の制作会社もあります。
第二に「identity」というタイトルには、画一的なものでなく、より異質であり本質なものが求められてくるこれからの日本への想いやメッセージが込められています。
自分達の知らない真実、支配からの解放がもうすぐやって来る、また覚醒がやってくるはずであらゆる地域、立場の人々が自分を取り戻し他の為に役に立ちたいと願う世界がやって来ます。
identityエッセイの抜き出し。
私が小学生になる前だったと思う。NHKテレビの放送時間が終わる時間だったか、ニュースの時だったか、モノクロ画面上で地球がゆっくりと回転していた。
そしてそこから『龍のおとしご』のような地形がゆっくりと現れてきた。幼いのになぜか誇らしかった。日本にはその「形」がある。つまり、形としての国土が明快に海上に存在しており、地図上にある日本というものがはっきりとわかる。地形はデザインの仕事で言う、独自性、独立性を具備しているのだ。
これからは好むと好まざるとにかかわらず、インターネットで代表されるように国家間の壁はどんどん低くなり、肌で感じるため私はニューヨークを選び旅立ってみた。ニューヨークには、実に194カ国から来た人々が生活している。よく言われるように地球の縮図である。ニューヨークを、私は鳩のように飛翔し、犬のように走り、嗅ぎまわって探検した。そこに見たものは、国々の地形の非独自性とは対照的な、多くの民族と人びと個々の強烈なまでの、アイデンティティの存在だった。
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