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shibayama
works

Produced in 1994

脳波

 アトリエではよく黒い烏帽子を額につけている。脳波の計測器だ。計測された脳波をアップル社のコンピュータが広告とモニター上に描き出し、同時に即興の環境音楽に変換する。 人間ドックに入ったとき、意志に関係なく思わぬところで変化する脳波のグラフを見て、自分の中に自分も知らないものがあることに驚いた。それ以来、自分の脳波をモチーフに CG(コンピュータ・グラフィックス)の作品を作り出している。

 「脳を開放してあげているんです」

 作品には脳はグラフをそのまま表したものもあるが、計測器を付けた時、脳裏に浮かぶ光景 を描いた瞑想的なものが多い。目をつぶると、日の差し込む林、小川、その中から現れる手 ——などのイメージが鮮明に見え、脳が潜在的に持っている記憶を、ふだんいかに閉じ込め てしまっているかがよくわかるという。

 「僕たちはネクタイを選ぶ、速い列車を作るといったことに脳を使っているけれど、脳が本当に欲していることは別だと思うんですね。そこでこうやって、脳がしたいことをさせ、脳 が心地よい状態にしてあげるんです。それで本来の人間のペースを取り戻せるのだと思う」 脳波計測は、人工的な概念の束縛を脱し、今現在を生きる生身の自分を見つめようとする試 みなのだ。

 古来、多くの画家たちが自分とは何かを問いながら自画像を描いてきた。能の見 せる夢や波形をそのままに受け止めたグラフィックもまた、新しい自画像の一つに違いない。        日経ジャーナル

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Produced in 1994

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Produced in 1995